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DESCRIPTION
タッチワウの系譜をわざわざ辿らずとも目にし耳にするMu-tron(ミュートロン)。
そのバリエーションのひとつMu-tron IIIをベースに2015年、madbeanpedalsはNaughty Fish 2015 Ediitionを発表していた。
それはMu-tron IIIが持ついくつかの重大な欠点を補うようモディファイされているらしく、Mutronクローンを所有したかった私にとってはまさに据え膳であった。
その回路図を眺めるうちに、根本的な部分においてまだ行き届いていない、手を差し伸べたくなる無様さが滲出し、私なりにMutronを救済したいという欲求が芽生え、今回の製作は始まった。
2018年、Mu-tron IIIは次の5つを施され、Sotto Kimi Ni Tatchiとして生まれ変わることになる。
5つの要素
@入力インピーダンスが高い初段バッファの設置
Aフットスイッチ操作によるDrive切替え
BLOW/HIGH RANGEのMIX出力機構
C入力ゲイン不変の基、タッチワウ感度が可変
D出力レベルが可変
この中でAは、机上の回路遊戯者としてではなく、現場の演奏者としての立場からMu-tronを大いに救済することになる重要項目である。
Driveはフィルタのスウィープ方向を決定するスイッチであり、これを演奏しながら切り替えられることのメリットは言を俟たない。
ただし、その切り替えがワウの感度や音量をも大きく異なったものにしてしまっては途端に意義を失ってしまうので、この調整には耳に頼った回路設計が強く求められ、主にタッチワウ感度関連回路の複数箇所をカットアンドトライすることとなった。
ここで初心な諸氏のために、Mu-tronIIIの概要と効果が確認できる貴重な動画をシェアしたい。(石橋楽器店様に感謝)
ユピョッ、ビュワッという音象に深い魅力があるエフェクトだと気づくだろうか。
おめでとう、タッチワウへの夜明けです。
これはフィルタのスウィープ、詳しく言い換えると、特定周波数帯を極端に増幅/減衰させられた楽器信号の周波数特性エンベロープが低域側/高域側へ連続的に移動すること(特定周波数帯が連続的に変化するためそう見える)、が発生し得られる効果である。
Mu-tron IIIはこの特定周波数帯域を2種類、エンベロープ加工形状を3種類、移動の向きを2方向、それぞれスイッチすることができ、これだけでも多彩なニュアンスの創造を想像できるがそれに加えてPEAKとGAINの可変抵抗を有している。PEAKはエンベロープ形状の極端さ、GAINは楽器信号の入力レベルを調整するという役割である。
さて、エンベロープの移動がどのように起こっているかイメージできるだろうか。この移動に関わる機構は機種により異なっており、それぞれに独自の魅力を放つ要因ともなっていると言えるだろう。
さっそくMu-tron IIIを解剖すると、フォトカプラを内蔵していることが分かる。これを楽器からの信号が大きいほど抵抗値が小さくなる抵抗器のように振る舞わせ、その抵抗値の増減でもって前述の特定周波数帯を連続的に変化させていると考えてはどうだろう。うまくいきそうでしょう?
ということで、タッチの強さに見合ったワウ効果が発生するのである。こんにちは、タッチワウ!
さても、さても。そっと君にタッチ。例えば複数の特定周波数帯を同時に移動させたらどうなるだろうか。もっと色付けを。より高反応に。これらは系譜に連なるものへの至極当然な要請である。
Bのツインフィルタ方式はAguilarだったりelectro harmonixが採用しているが、フィルタを選択できるような仕組みにはしていない。この点、私は柔軟性を持たせることにした。
@CDは、常に正しく振る舞いそして次段に配慮するための、最低限備えておくべきマナーの様なものである。
COMPONENTS
HAMMOND1590Q, SWITCHCRAFT #11, Fujisoku FootSW, Carling 6P ON-ON-ON, マル信無線電機 MJ40, TOCOS RV, T93, Tantalum Capacitors, Film capacitors, OS capacitors, TIS58, 4558, 1044, DALE RN, Perkin Elmer VTL5C1
INSIDE
私はジャンパを嫌う。
レジスタは必ず縦。(数字は上から下に読めること。)
コンデンサは必ず横。(プラスマイナスの向きは不問とする。)
ダイオードは必ず縦。(アノードカソードの向きは不問とする。)
ICは必ず左上を1番端子とする。
トランジスタは必ず横。(ソースとドレインの区別はしない。)
SOUND
BAKER'S DOZEN